2017年11月28日火曜日

2017秋土壌プロジェクト報告会 開催レポート


2017秋土壌プロジェクト報告会 開催レポート


2017/11/19。
秋晴れの日曜日、国立オリンピック記念青少年総合センターにて、報告会を開催しました。

朝早くから、大勢のお客様をお迎えすることができました。深く御礼申し上げます。
オリンピックセンターから見える富士山

現在、制作を予定している「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」の集大成「マップ集・アトラス版」(セシウム地図帳)の青写真として、栃木県・山形県の2つを例に挙げ、測定結果に様々なデータを重ねてみることで見えてきた事例を紹介することを中心に、3人のスピーカーが報告しました。

当日の内容について簡単にご報告します。

■ 参加測定室紹介

みんなのデータサイトは、全国34の測定室で成り立っています。それぞれの測定室で地域の皆様から持ち込まれた食品や土壌を測定し、また自分たちで気になるものを測定し、そのデータを「みんなのデータサイト」の共通のデータベースに登録していくことで、結果をインターネットで多くの方々に見ていただくことができる仕組みです。


当日、全国から集まった測定室の皆さんに壇上に上がっていただき、少しの時間ですが「測定を続けている思い」など、お顔を見ていただきながら、ご挨拶をしました。

全国の測定室からのメッセージ(北は北海道から南は広島県の測定室が参加しました)


■ 「土壌マップ」と自治体実施の「食品中の放射性物質検査データ」から見えてきたこと・山形県を中心とした解析報告(あがのラボ・村上直行)

山形県は、福島県と隣接していながら、比較的放射能の値が低い。その理由や、食品との相関などについて、あがのラボの村上が解析結果を報告した。 
山脈などの地形と、当時の天候(積雪の状況)などから、放射能がなぜ、どの場所にどの程度定着したのかについて推測。また、自治体が実施している食品検査の結果から、野生動物(ツキノワグマ、シカ、イノシシなど)について出荷規制や基準値超え(100Bq/kg以上)の市町村と土壌マップを比較してみせた。

セシウム濃度の高い地域において、ツキノワグマの測定件数が極端に少ないことや、マタギ文化の残る一部地域では全頭検査を条件に出荷制限が解除されたことなどの紹介があった。

山菜(コシアブラ、野生キノコ、タケノコなど)においては、山に近い県境近辺において基準値を超えるものが散見されており、セシウム濃度が低いと思われている山形県においても、とりわけ野生生物と山菜・キノコについては、基準値を超える高いセシウムが検出されることから、注意を要する。出荷制限は販売するもののみにかかるものなので、自家消費などは対象にならないため、留意が必要。

自治体が測定した食品データの分類考察では、山形県、新潟県、栃木県、神奈川県などを比較し、山形県で顕著に多いものは、県特産品(牛肉、サクランボなど)であることなどを紹介した。
山形県の地形や当時の降雪量情報からセシウム沈着結果を考察

■ 栃木県解析報告・栃木県内ワークショップの報告・乳歯保存プロジェクトについて(C-ラボ・大沼淳一)

  20ミリシーベルトがもたらす影響について解説
栃木県は、チェルノブイリ事故後にロシアで定められたチェルノブイリ法の基準では、「移住の義務」ゾーンや「移住の権利ゾーン」に該当するエリアが複数あること、また現在日本の基準である「年間20ミリシーベルト」という基準がいかに過酷かと点について、ICRP副委員長のジャック・ロシャールでさえ「残念だ」「理解できない」「安全でない」「年間20ミリシーベルトの被ばくは長期間続くと安全ではない」と述べたことを紹介した。

また当時のヨウ素の流れのシミュレーションや水道水のヨウ素測定値などを紹介し、初期被ばくの可能性にも警鐘を鳴らした。

イノシシ、野生キノコ、山菜とともに、「薪ストーブ」などの灰についても十分注意が必要。チェルノブイリでは事故後8年から10年経ってから、内部被曝の値が事故直後よりもさらに大きくなったことと、セシウム137の半減期は30年あることからロシアの人々との食生活の違いはあれど、日本国内でも山の幸の豊かな地方でのキノコ狩りやジビエ嗜好などを例に挙げ「もう大丈夫」と思って食べてしまうとチェルノブイリと同様、内部被曝を増加させる恐れがあると警告した。

ウクライナ国内における、複数地域の成人セシウム内部被曝量推移(1986年〜2008年)

キエフなど3つの村における内部被曝量の推移(赤が大人・緑は子ども)


乳歯保存ネットワークは、C-ラボも参加している民間初の乳歯専用ストロンチウム測定所で、現在岐阜県に設立準備中と紹介。会場では乳歯を集めて送るためのキットの配布を行い、用意したキットすべてがなくなるほどの盛況だった。測定所立ち上げの出資者も募っている。

 ●乳歯保存ネットワーク http://pdn311.town-web.net/





■ 「環境濃縮ベクレル測定プロジェクト」紹介とクラウドファンディングご協力のお願い(Hotspot Investigators for Truth(HIT) 代表 Sugar Natさん)

いわゆるマイクロホットスポットと呼ばれる、放射性物質が周囲に比べて著しく集積した場所を発見し、測定し、行政に除染などの対応を依頼するという活動を地道に続けているHIT。ホットスポットは、限られた範囲内であるため、除去すれば危険を取り除くことができる。しかし、現状の環境省の基準では、字や町内などの広い範囲を1単位とし、その平均空間線量(主に高さは1メートル)で除染基準を決めているため、こうした狭い範囲の高い汚染は、実質的には見捨てられてしまっている。

1メートルの高さでは0.451μSv/h、5cmの高さで計ると2.682μSv/hというように、
1メートルの測定のみだと非常に高い汚染が見捨てられてしまうことになる。 

その現状を踏まえ、子どもたちにとって身近な公園や人々が行き交う街路樹脇、駐輪場など、人々を被ばくから少しでも守りたいと活動している。

実際に、どのような場所でどのような汚染があったか、通報後自治体で除染してもらった後、どの程度空間線量が低下したか、といった実例を紹介した。

この活動を広く知ってもらうため、どこがホットスポットになりやすいか、という場所のパターンを雨樋、吹き溜まり、木の根元、建物のキワ、など12分類のイラストでわかりやすく表示し、その測定データを「環境濃縮ベクレル測定プロジェクト」と題してweb上に掲載する形で、みんなのデータサイトと共同でプロジェクトを進めている。


 ●みんなのデータサイト 環境濃縮ベクレル測定プロジェクト http://minnanods.net/soil#soil-top-hotspot12-head


イラストによる12分類でホットスポットになりやすい場所を示し、
各タイプの測定地点の測定値を掲載している

また、こうした活動は、実際にその自治体に住んでいる市民が要請することが、最も行政を動かしやすいと指摘した。
原発事故においては、自治体もまた私たち市民と同じ被害者でもある。そうした目線で、行政と協力して良い関係を築けると活動しやすいとコツを伝授。
『「どこがホットスポットかわからない」「自治体との交渉がわからない」などあれば、出向きますので、みんなで繋がっていきましょう。』と呼び掛けた。

なお、この活動を継続するため、12月25日までクラウドファンディングで活動資金を募っています。ご協力をよろしくお願いします。

 ●クラウドファンディング https://moon-shot.org/projects/hit/




センター内はちょうど紅葉真っ盛りでした



板橋の測定室「アスナロ」は手作り手芸品を販売し、福島の子ども保養の活動資金を募りました

2017年11月13日月曜日

(祝)【日隅一雄・情報流通促進基金 受賞のお知らせ】



本日11月13日付で発表された「日隅情報流通促進基金」大賞に、喜ばしきことに、みんなのデータサイトが選ばれました。
http://hizumikikin.net/…/%E6%97%A5%E9%9A%85%E4%B8%80%E9%9B…/
大変栄誉ある日隅賞の受賞を、スタッフ一同心より嬉しく有難く思い、ここにご報告させていただきます。



みんなのデータサイトは2012年に発足し、市民と34の測定室が協力し合い、2011年の東京電力福島第一原発事故以降の放射能汚染測定データを蓄積・公開してまいりました。

私たちのデータベースには、食品で1万5千件近く、土壌データで3,500件近くのデータが、市民力によって積み上げられ、web上でどなたでも検索閲覧ができます。
食品データの一件一件は、多くの一般の方々が、お子さんの健康などを心配され、測定に持ち込まれたデータを中心に積み上げられており、一つ一つのデータが貴重なものです。ここまでの形になったのは、本当に多くの方との協力によってしか成り立ちえないことでした。

また2014年からは、「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」と題した、東日本17都県にわたる広範囲な土壌測定を行い、延べ人数4,000人を超える皆様と共に、各地で土壌を採取測定し、データを積み上げ、汚染状況を可視化する取り組みを進めてきています。

土壌データは、チェルノブイリ事故の後、ウクライナやベラルーシでは国費をかけて大規模な測定を行い記録・公開し、避難や保養などの判断基準として使用しているのに対し、日本ではほぼ空間線量のみの測定にとどまっています。また、原発事故前の20倍もの高い値である、年間20mSvという基準が採用され続け、これが住民の避難・帰還基準の判断に用いられているのが現状です。
このような中、「自分たちの住む地域の汚染を知る権利があるはずだ」という思いのもと、「政府がやらないなら自分たちで明らかにしよう」と、市民力でできるだけ多くの「実際のデータ」を調査・記録・公開することに努めてまいりました。このデータを多くの人に知っていただき活用できるよう、これからも取り組んでまいります。

今回の受賞は、これまでに全国の測定所に測定を依頼してくださった市民の皆さま、採取活動やカンパなどの資金で私たちを応援してくださった方を含め、非常に多くの方々と共にいただいたものだと思い、共に喜びたいと思います。
市民科学の力で放射能汚染の実態を、測定データの積み上げにより提示出来ていることに、大きな力を感じます。

日隅情報流通促進基金の関係者の皆様へ心より感謝申し上げますと共に、
原発事故の爪痕を測定を持って可視化し、さらに多くの皆様へ貢献していけるよう、この受賞を励みとし、私たちはさらに前進してまいります。

みんなのデータサイトを、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

   みんなのデータサイト スタッフ一同

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【19日(日)土壌プロジェクト報告会のご案内】
今週末19日(日)AM9:30より、みんなのデータサイト土壌プロジェクトの報告会があります。

東日本17都県を測定し、可視化を進めている土壌汚染の実態について、様々な角度から情報提供いたします。
ぜひ多くの皆様のご来場をお待ちいたしております!
日隅さんの賞をいただいたことに力を得て、一層素晴らしい会として皆様に情報をお届けいたします。
是非お誘い合わせの上お越しください。




We got the Grand Prize for 2017 Kazuo Hisumi Promotion of Information Distribution Award

Winner of the Grand Prize for 2017 Kazuo Hisumi Promotion of Information Distribution Award


Kazuo Hisumi Promotion of Information Distribution Award was founded to recognize the efforts and throws light onto the media, journalists and private individuals engaged in the field of information communication whose activities are focused on the freedom of expression, the disclosure of information and people’s rights to know. The grand prize award for 2017 was decided to be awarded to Minna no Data Site Project. This project has been conducting measurements and accumulations of soil that have been contaminated by the effect of the accident at TEPCO’s Fukushima Daiichi Nuclear Power Station. It was recognized for the summarization and disclosure of scientific data accumulated from a wide-spread contaminated area of 17 prefectures and city in East Japan, in ways that were understand comprehensible to everybody.


The encouragement award was given to Mr. Takashi Ozaki, a photographer who repeatedly gathered information about the members of SEALDs (Students Emergency Action for Liberal Democracy.) The special award went respectively, to Mr. Makoto Kimura, a city council member of the city of Toyonaka, for his repeated disclosure of information pertaining to the Morimoto Gakuen Scandal, and to Ms. Miyuki Ohara, who is the original proposer of “Kokkai Ondoku” which is a means to read aloud the questions and answers in the Diet on conspiracy that don’t quite bite evenly.


(Recipients)
Grand Prize Award : “Minna no Data Site activities (co-representatives : Mr. Hidetake Ishimaru, Mr. Hiromi Abe, Ms. Shoko Onuma)

Encouragement Award : Information gathering on SEALDs members (Mr. Takashi Ozaki)

Special Award : Investigation an information disclosure pertaining to Morimoto Gakuen Scandal (Mr. Makoto Kimura)

Special Award : “Kokkai Ondoku” Activity (Ms. Miyuki Ohara)



(Awarding Ceremony)
Date : Friday, December 15th (18:30~)
Place : Hibiya Convention Hall
(1-4, Hibiya Koen, Chiyoda-ku)

The Fifth Kazuo Hisumi Promotion of Information Distribution Award : List of Recipients

Grand Prize Award ( given to 1 party, extra prize 300,000 yen)
Activities of “Minna no Data Site”(co-representative: Mr. Hidetake Ishimaru, Mr. Hiromi Abe, Ms. Shoko Ohnuma)




(Reason for the Awarding)

Minna no Data Site conducted a public participation style project by involving the citizens to collect, measure and accumulate the soil that are contaminated by radioactive substances caused by the accident at TEPCO’s Fukushima Daiichi Nuclear Plant, and plotting the result data on the map for easy comprehension. This project was chosen for the intelligible disclosure of scientific data constantly standing on the people’s side. The contamination data accumulated and disclosed were derived from soil collected by the hands of the citizens that were widely called upon, from a widespread area of 17 prefectures and city.

2017年11月7日火曜日

ホットスポットを見つけ除染し子ども達を守る活動のクラウドファンディング実施中!



11月4日、Hotspot Investigators for Truth(略称HIT)という団体と、みんなのデータサイトによるコラボプロジェクト「環境濃縮ベクレル測定プロジェクト」のクラウドファンディングがスタートしました!!
これまで実施していた「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」が各地の平均的な汚染を調査するプロジェクトであったことから、ホットスポット調査はしないのか?とのお声をたくさん寄せて頂いていました。

私達は、HITと1年以上前から持ち出しで、高濃度の汚染地点を調査し公開するプロジェクトの準備を始めていました。
この7月からやっと測定結果を掲載するシステムを整備し、公開を始めるに至り、皆様に正式に支援のお願いをする段階になりました。
目的のひとつ目は、ホットスポットが見つかった場所において地域住民の皆様と協力し、自治体に交渉して除染や清掃をお願いをすること、ふたつ目の目的は、濃縮してホットスポットになりやすい地形や傾向を可視化して、被曝のリスクを減らすことです。

12月25日、クリスマスの夜23:59までに、約55万円の費用をご支援頂きたく、どうかよろしくお願い申し上げます!!
汚染をなかったことにさせない、事実を伝え続けるこのプロジェクトをご支援ください!!

クラウドファンディングのご支援・詳しい説明はこちらhttps://moon-shot.org/projects/hit (←こちらをクリック)




*現在公開している、環境濃縮ベクレル測定プロジェクトのページもぜひご覧ください
http://minnanods.net/soil#soil-top-hotspot12-head(←こちらをクリック)



ぜひ、周りの方にもお声かけ頂き、支援の輪を広げてください。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2017年10月31日火曜日

11/19・東京 土壌プロジェクトイベントの内容紹介:栃木県・山形県土壌調査の解析報告

11月19日(日)に開催する土壌プロジェクトの報告会で報告する内容をお知らせいたします。

土壌プロジェクトでは、東日本17都県で3,000地点以上の土壌採取・測定を市民の皆様と一緒に行いました。その測定結果を解析し、また地形などと合わせてみることで、見えてきたことなどを先行して皆様に一足早くお伝えしていきます。
今回は、汚染重点地域の1つである栃木県と、比較的汚染レベルが低い山形県の2つを先行して解析し、現時点での中間報告とさせていただきます。


1. 栃木県の土壌調査の解析報告概要
(名古屋C-ラボ 大沼淳一さん担当)

「17都県3300余点のうち、高濃度汚染した栃木県では292地点の土壌調査を行い、その解析を行いました。那須町には23000Bq/kgを超えてチェルノブイリ法における「移住の義務ゾーン」が1ヶ所。那須町、那須塩原市、矢板市では、8500Bq/kgを超える移住推奨ゾーンが21ヶ所あり、これら3自治体に加えて、日光市、塩谷町、大田原市、那珂川町では、2800Bq/kgを超える移住の権利ゾーンが、合計で81ヶ所もありました。深刻な初期被曝も懸念されます。しかし、政府も自治体も適切な対策をとらないままに6年半が過ぎています。市民、とりわけ子どもたちの被曝が懸念されます。今すぐにでも、健康調査など福島県なみの対策が必要です。」



*なお、10月末から11月にかけて約1週間、大沼さんはこの報告結果を持って栃木県各所を回り、報告会や測定ワークショップを開催します。イベント当日は、この栃木の報告会の様子も交えて、栃木県の放射能汚染の状況も紹介する予定です。


2. 山形県の土壌調査の解析報告概要
(あがのラボ 村上さん)

 市民の手による「MDS東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」の成果として、東日本17都県の土壌汚染マップが益々充実してきている。 福島県と隣接し距離的に近い山形県や新潟県では殆ど汚染がないと考えられていたが、得られたマップでは低汚染レベルの地域が両県でも広く存在することを示している。
 


MDS土壌汚染マップ」と山形県が実施した「食品中の放射性物質検査データ」や埋もれていた測定データを解析すると山形県が強い汚染を免れた理由、発災後の山形県独自の「食品検査戦略」などが見えてきた。


 山形県のような平地の汚染が低い地域でも「ツキノワグマ肉」「山菜(コシアブラ)」「天然キノコ」の検査データが示すように「山の汚染」が今も継続し、食品の「基準値超え事件」が絶えない。




3. 環境濃縮ベクレル測定プロジェクトについて
(SugarNatさん)

これまでの土壌プロジェクトでは、そのエリアの標準的な汚染度を調べるため、あえてホットスポットの地点の測定は含めていませんでした。しかし一方でそこかしこに存在するマイクロホットスポット(放射性物質が集まって濃度が高くなっている場所)は大きな問題です。以前からこのホットスポットの探索・測定・そして行政への除染の働きかけをコツコツと行っている Hotspot Investigators for Truthという団体と協力し、彼らが測定したデータを「みんなのデータサイト」上に蓄積し掲載し始めました。
イラストなどを使い、どのような地点がホットスポットになりやすいか?表示しています。
当日は、これまでの測定活動、行政への働きかけの成果などについて代表のSugar Nutが紹介します。


2017年10月12日木曜日

【メディア掲載】名古屋Cラボの取り組み「乳歯保存ネットワーク」が中日新聞・東京新聞で紹介されました

みんなのデータサイト 幹事団体の1つである「未来につなげる・東海ネット 市民放射能測定センター(C-ラボ)」も参加している、日本初の乳歯のストロンチウム測定の民間測定所(岐阜)について、中日新聞(2017年9月17日・朝刊一面)と東京新聞(2017年10月4日朝刊社会面)に記事が掲載されました。


来る11月19日の土壌プロジェクト報告会の中でも、Cラボ大沼淳一さんに、この乳歯保存ネットワークについて紹介し、説明資料や乳歯保存用キットの頒布も予定しています。ぜひ報告会へお越しください!

●11月19日土壌プロジェクト報告会の詳細はこちら

●乳歯のストロンチウムの測定、また資金応援いただける方は乳歯保存ネットワークへ直接お問い合わせください。乳歯保存ネットワーク=058(296)4038

以下記事の紹介です。



*中日新聞の記事のテキストを書き起こしておきます。


2017.9.17 中日新聞朝刊一面

内部被ばく 乳歯で調査
岐阜に初の民間測定所

 2011年の剛強電力福島第一原発事故で放出された放射性物質をめぐり、各地の子どもたちの乳歯を分析して影響を調べる全国初の民間測定所が、年内にも岐阜県内で発足する。事故当時に生まれた子どもの乳歯が自然に抜け始める時期を迎えたことから、全国各地に呼び掛けて回収。蓄積した放射性物質ストロンチウム90の濃度を測定し、内部被ばくの可能性や放射能汚染の広がりについて調査に乗り出す。(小倉貞俊)

福島事故受け全国の子対象
 運営に携わるのは、岐阜市で診療所を開く松井英介医師(79)、愛知医科大の市原千博客員教授(中性子工学)をはじめ名古屋大、岐阜大の研究者ら13人。現在、岐阜市茜部本郷の建設会社の建物を測定所に改修する工事を進めている。
原発事故で放出された放射性物質のうち、ストロンチウムは歯や骨に蓄積しやすい。母乳や食物などを通じ、子どもたちに蓄積された可能性があるとみて、松井さんらは159月、入試の提供を呼び掛ける市民団体「乳歯保存ネットワーク」(岐阜市)を設立。これまでに約300人分の乳歯を全国から集めた。
測定所の開設には、機器の購入代や建物の改修費など2,500万円が必要。さらにデータの収集・分析には長期間の継続した活動が欠かせない。「企業や団体、個人を問わず、多くの人が資金を出して参加できる仕組みが必要」(市原さん)と今年2月には、運営を担う非営利の株式会社「はは」を設立。出資金を集めて、高い精度で測定できる米国製の危機を購入した。
また、松井さんらメンバー5人は乳歯のストロンチウム分析で実績があるスイス・バーゼルの州立研究所で研修し、手法を学んだ。
乳歯の測定は、幅広い年齢や地域の年間400人程度を想定している。希望者は所定の用紙に出生地や育った場所、歯が抜けた日などを記し、前歯など小さな歯は4本程度、奥歯なら1本を送る。測定は無料。結果は1人ずつ知らせ、健康相談に応じる。
各地の子どもへの影響をめぐっては、福島県歯科医師会が東北大などと1312月から、乳歯の放射線量の強弱を測定している。
松井さんは「科学的なデータが集まれば、国や自治体に広範な調査を求めていく。事故で何が起きたのかを明らかにし、子どもたちの未来を守りたい」と協力を呼び掛けている。問い合わせ先は、乳歯保存ネットワーク=058(296)4038へ。

●ストロンチウム90 半減期は28.8年。空気や食べ物から体内に取り込まれると、骨や歯に蓄積しやすく、数十年もとどまって、白血病などの健康被害を引き起こす恐れがある。